シーンサンプル

あくびをかみ殺してると、翠は勝手に荷台に座ろうと
する。
「ん、しょっと」
宗介 「待て」
俺は自転車から降りて、ハンドルを差し出した。
「?」
宗介 「たまにはおまえがこげ」
……
「ちょっと、これ、ほんとにきついんだけど……」
緩やかではあるが坂道だ。
自転車二人乗りで登るのはしんどい。
宗介 「少しは俺の大変さが分かっただろう」
「はぁはぁ……なんの……!」
毎朝というわけじゃないが、翠はよくここで俺が来る
のを待ちぶせしている。
で、勝手に荷台に座って俺を運転手代わりにするのだ。