GALLARY

*Kurusu Yukako*
×祐果子
「あっ……ご、ごめんなさいっ。わたしったら」
×啓人
「いえ、こちらこそ」
×
 あの人……マネージャーさんかな?
 かなめさんとは随分タイプが違うなぁ。
×
 夢から醒めてしまったが……すごいな、まだ幸せだ。
 くるしーの苦しさ尋常じゃない。
×
 いや、それはともかく。
×啓人
「携帯のことは気にしないでください。割れても使えますから」
×
 落ちた携帯を手に取ると、小夏からの着信は切れてしまって
 いたが、電源自体は入ったままだ。後でかけ直そう。
×啓人
「それよりも時間、押してるみたいですし。ね?」
×
 くるしーに携帯の心配されちゃったよぉおおぉおおお!!!!
×
 ――そんな心をぐっと隠し、本能に備わった
 イケメンを全解放して、にっこりと微笑む。
×祐果子
「そういうわけには……えっと、わたしの連絡先を――」
×啓人
「や、ちょ。それは止めといた方がよくないですか?
 自分を信用してもらえるのは嬉しいですけど」
×
 口から出た言葉に、心の中で壮大にダメ出しが入る。
×
 なんで『じゃあ――』って言わないんだよ俺!?
 バカなの!?
×祐果子
「ぁ……すみませんっ……でも……」
×祐果子
「あの、でしたらっ、来週のこの時間
 またここにいらしていただけませんか?」
×祐果子
「その時に弁償のお金、お持ちしますのでっ」
×啓人
「いや、でも別に……」
×
 ん? なんだこの展開? くるしーと約束してるの? 俺。
×
 来週のこの時間って……
 まあ、放課後だし問題なく空いてはいるけど。え? え??
×
 そんな混乱をよそに、くるしーは切羽詰まった様子で
 俺を見つめている。
×
 それにしても、なんといういい匂い……!!
×
 これがくるしーの匂い。俺は一生忘れないだろう。
×祐果子
「…………」
×
 無意識で携帯ディスプレイを生け贄に
 出会いの魔法を発動した、だと……!?
×啓人
「えっと……分かりました。では、来週ということで」
×祐果子
「ありがとうございますっ……」
×啓人
「かっ……」
×祐果子
「か……?」
×
 可愛い……!!